事件発生日:2001年10月28日〜2001年10月29日
公電日付:2001年10月30日
公開日:2026年5月8日
発生場所:ジョージア / コドリ渓谷周辺
公開元:国務省
文書の種類:PDF
アセットファイル名:米国務省UAP通信3号、トビリシ、ジョージア、2001年10月30日
出典:U.S. Department of War「State Department UAP Cable 3, Tbilisi, Georgia, October 30, 2001」 / 059uap00011.pdf
2026年5月8日、米国の戦争省は「Presidential Unsealing and Reporting System for UAP Encounters(PURSUE)」Release 01の一部として、国務省のUAP関連公電を公開した。
今回の資料は「State Department UAP Cable 3, Tbilisi, Georgia, October 30, 2001」。日本語でいえば、「国務省UAP通信3号、トビリシ、ジョージア、2001年10月30日」である。
ただし、この文書はUFO目撃そのものの記録ではない。
むしろ、外交の場で「UFO」という言葉が、かなり苦しい言い訳、あるいは皮肉として使われた記録である。
2001年10月28日から29日にかけて、ジョージア外務省は、ロシア機がジョージア領空を侵犯し、アブハジアのコドリ渓谷周辺を爆撃したと主張した。
これに対し、ロシア側は否定した。
そしてロシア外務省の担当者は、現地にいた飛行機について、報告は「UFOのことだったと言ってもよい」と示唆したのである。
件名は「ジョージア上空のUFO」
この公電の件名は、かなり目を引く。
「UFOS OVER GEORGIA: STRANGE ENCOUNTERS OF AN MFA KIND」
直訳すれば、「ジョージア上空のUFO:外務省的な種類の奇妙な遭遇」である。
もちろん、これは本当に空飛ぶ円盤がジョージア上空に現れた、という意味ではない。
ロシア側が、自国機の関与を否定し、まるで“正体不明の何か”だったかのように語ったことへの皮肉である。
文書は、在モスクワ米国大使館からワシントンの国務省へ送られたものだ。
日付は2001年10月30日。発信元はAMEMBASSY MOSCOW(※在モスクワ米国大使館)。当初の分類はCONFIDENTIAL(※機密)だったが、2026年2月25日に全文機密解除されている。
ジョージア側の主張:ロシア機が領空侵犯し爆撃した
問題となったのは、2001年10月28日から29日にかけての出来事である。
ジョージア側は、ロシア機がジョージア領空を侵犯し、コドリ渓谷の一部を爆撃したと主張した。
コドリ渓谷は、アブハジア情勢と深く関わる敏感な地域だった。
米国大使アレクサンダー・ヴァーシュボウは、10月30日の予定されていた会談で、ロシア側にこの問題を提起した。
彼は、もしこのような事件が事実であり、さらに継続するなら、米露関係にとって破滅的な影響を与え、近く予定されている両国大統領の首脳会談を台無しにしかねないと伝えた。
つまり、これは単なる地方紛争の一幕ではなかった。
ジョージア、ロシア、アブハジア、チェチェン、そして米露関係が絡む、かなり危険な外交問題だったのである。
ロシア側の否定:「ロシア機は飛んでいない」
ロシアの副外相マメドフは、ロシア国防省によれば、10月28日から29日にかけてロシア機はコドリ渓谷の上空を飛行しておらず、爆撃もしていないと述べた。
ロシア外務省のジョージア担当デスク長テレオケンも、同じ主張を繰り返した。
彼は、アブハジア側のヘリコプターが「テロリストのいる場所」を爆撃したという信頼できる報告はあると述べた。
しかし、飛行機がいたという報告については、それは「UFO」だったと言ってもよい、とした。
ここでUFOという言葉が出てくる。
つまり、ロシア側は「ロシア機ではない。飛行機がいたというなら、それはUFOだったのではないか」というような形で、ジョージア側の主張を退けたのである。
「誰も非難していない」と言いながら、誰かが飛ばした可能性も示す
テレオケンはさらに、モスクワには、その地域に外国機がいたかどうかを判断する技術的能力はない、と説明した。
一方で、彼は「誰も非難しているわけではない」と強調しつつ、「どの側」でもコドリ上空に飛行機を送った可能性はある、と付け加えている。
この言い方はなかなか微妙である。
ロシア機ではない。
ロシアには確認できない。
アブハジアのヘリはいたかもしれない。
飛行機の報告はUFOかもしれない。
しかし、どの側かが飛ばした可能性はある。
つまり、完全な説明ではなく、責任の所在をぼかすための言葉が並んでいる。
米国側のコメント:「大胆な嘘」
この公電の末尾にあるコメント部分は、かなり辛辣である。
筆者は、ロシア機が関与していないという公式否定を受け入れるのは難しい、と書いている。
さらに、これがUFOだったと仮定するのは、領空侵犯の重大性がなければ笑える話だ、と述べている。
そして最も印象的なのが、次の評価である。
ロシア側の公式否定は、気まずい認め方を避けるために「大胆な嘘」をつくという、伝統的なロシアの傾向を反映している、と。
かなり強い言い方だ。
この文書では、UFOという言葉は未知の空中現象を説明するためではなく、ロシア側の否認を皮肉るために使われている。
本当の焦点はグダウタ基地だった
この公電の大部分は、実はUFOそのものではなく、グダウタ基地からのロシア軍撤退をめぐる交渉に割かれている。
ロシア側は、10月29日に軍事装備を積んだ鉄道車両1両がグダウタ基地を出発し、ロシアに入ったと説明した。
さらに、別の2両も積み込み済みで、アブハジア当局の許可を待っているとされた。
しかし、外部の監視員は撤退を確認できなかった。
テレオケンは、アブハジア側が緊張した状況のため、外部者の立ち会いを許さないだろうと述べた。
米国側は、それでは透明性が欠け、ロシア政府の意図に疑問を生じさせると指摘している。
約600人のロシア要員と「警備員」340人
グダウタ基地には、およそ600人のロシア人員が残っているとされた。
ロシア側は、そのうち約340人を「警備員」として残すことに固執していた。
一方、トビリシ、つまりジョージア側は、もっと少ない人数を求めていた。
ここには、ロシアが軍事的プレゼンスを完全には手放したくないという構図が見える。
公電のコメントでは、ロシア政府はグダウタに残る600人の部隊を、アブハジアに関するボーデン文書や、ジョージア国内のチェチェン人取り締まりについて、トビリシから譲歩を引き出すための交渉材料として使っている可能性が高いと分析している。
つまり、「UFO」の話は、この大きな政治・軍事交渉の中に出てきた奇妙な一言だった。
UFOは“煙幕”として使われたのか
この資料をUAP文書として読むとき、注意すべき点がある。
ここには、未知の飛行物体の具体的な目撃記録はない。
形、大きさ、速度、高度、光、音、航跡といったUAP調査で重要になる情報もない。
あるのは、ロシア側が「飛行機の報告などUFOみたいなものだ」と主張したという外交上のやり取りである。
つまり、この文書のUFOは、空に現れた謎ではなく、責任を曖昧にするための言葉に近い。
その意味では、UFOという語が、軍事行動の否認や情報戦の中でどのように使われうるかを示す資料である。
空で何かが起きた。
被害を受けた側は相手国の軍用機だと主張する。
相手国は否定する。
そして「UFOだったのでは」と言う。
これはもう、UFOというより、外交の煙幕である。
「ジョージア上空のUFO」が示しているもの
この公電は、宇宙人や未知の航空技術の証拠ではない。
しかし、UFOという言葉が、国際政治の中でどのように使われるかを示す、非常に面白い資料である。
本来なら、領空侵犯や爆撃は重大な問題である。
だが、責任を認めたくない側は、「そんな飛行機はいない」「確認できない」「UFOだったのでは」と言うことがある。
この文書の筆者は、その言い訳をほとんど信じていない。
むしろ、ロシアが自らの行動を隠すために、分かりやすい否認と大胆な嘘を使っていると見ている。
2001年のジョージア上空で語られたUFO。
それは、空の謎というより、国家が責任を避けるときに生まれる“政治的UFO”だったのかもしれない。
全文翻訳
出典元ページの説明
10月28日から29日にかけて、ジョージア外務省は、ロシア機がジョージア領空を侵犯し、コドリ渓谷の一部を爆撃したと主張した。
ロシア側はこれらの主張を否定し、UFOの仕業だった可能性を示唆した。
電報の執筆者らは、ロシア人は行動を隠蔽したい際に、しばしば「大胆な嘘」をつくと指摘している。
アセットファイル名:米国務省UAP通信3号、トビリシ、ジョージア、2001年10月30日
公開日:2026年5月8日
機関:国務省
事件発生日:2001年10月28日〜2001年10月29日
事件発生場所:ジョージア
文書の種類:PDF
国務省公電の基本情報
分類:機密。その後、非機密化。
MRN:01 MOSCOW 13169
日付:2001年10月30日 / 300000Z OCT 01
発信元:在モスクワ米国大使館
宛先:ワシントンD.C.、国務省、優先扱い
件名:ジョージア上空のUFO:外務省的な種類の奇妙な遭遇
参照:A)MOSCOW 13072、B)TBILISI 3087
機密指定者:政治担当公使参事官 George Krol
機密指定理由:1.5(B/D)
要約
1. 副外相マメドフは、10月30日、ヴァーシュボウ大使に対し、ロシア国防省によれば、ジョージア側の非難にもかかわらず、10月28日から29日にかけてロシア機はコドリ渓谷の上空を飛行しておらず、同地域を爆撃してもいないと述べた。
ロシア外務省ジョージア担当デスク長テレオケンも、マメドフの発言を繰り返した。
テレオケンはさらに、ロシア軍装備を満載した鉄道車両1両が10月29日にグダウタ基地を出発し、ロシアに入ったこと、また他の2両が積み込み済みで、ロシアへ出発するためアブハジア側の許可を待っていることを確認した。
トビリシが、約340人のロシア人「警備員」がグダウタに残ることに同意するまでは、人員を撤退させる計画はない。
テレオケンは、アブハジア当局は撤退を外部監視員に見せることを認めないだろうと述べた。
テレオケンは、ジョージア議会議長ズラブ・ジュヴァニアの10月25日から28日のモスクワ訪問について、雰囲気は前向きだったが成果はなかったと評した。
ジョージア大使館によれば、ジュヴァニアとロシア下院議長セレズネフは、双方が非難合戦を避けるべきだという点で一致した。
テレオケンは、セルゲイ・イワノフ国防相が近くトビリシを訪問する予定だというメディア報道を否定したが、訪問の可能性を完全には排除しなかった。要約終わり。
ロシア機の領空侵犯・爆撃疑惑
2. 10月30日、予定されていた会談の中で、ヴァーシュボウ大使は、ロシア機がジョージア領空を侵犯し、コドリ渓谷の一部を爆撃したとする参照Bの報告を提起した。
大使は、もしそのような事件が事実であり、継続するなら、米露関係にとって破滅的なものとなり、米国で予定されている両国大統領の首脳会談を損なう可能性があると強調した。
マメドフは、そのような事件が首脳会談に悪影響を及ぼすことには同意した。
しかし彼は、ロシア国防省の見解として、ロシア機がジョージア領空でのいかなる事件にも関与していないと断固として否定した。
3. ロシア外務省ジョージア担当デスク長テレオケンは、マメドフの主張を繰り返し、10月30日、ロシア機がアブハジアのコドリ渓谷を爆撃したとの報告を否定した。
彼はまた、ジョージア領空に対するロシア側の侵犯も否定し、10月28日にも29日にも、その地域の近くを飛行したロシア機はなかったと述べた。
テレオケンによれば、アブハジアのヘリコプターが「テロリストのいる場所」を爆撃したという信頼できる報告はあった。
しかし、その地域に飛行機がいたという報告は、「UFO」に関するものだったと言ってもよい、と彼は述べた。
彼の説明によれば、モスクワには、その地域に外国機がいたかどうかを判断する技術的能力はない。
彼は「誰も非難しているわけではない」と強調しながら、「どの側」でもコドリ上空に飛行機を送った可能性があると付け加えた。
グダウタ基地からの撤退
4. グダウタからの撤退計画について質問すると、テレオケンは、軍事装備を積んだ鉄道車両1両が基地を出発し、10月29日の朝にロシアに入ったことを確認した。
さらに2両の列車が積み込み済みで、ロシアへ移動するためにアブハジア当局の許可を待っている。
ロシア参謀本部のメンバーは、これらの移動を調整するためスフミにいる。
5. 我々は、撤退を検証するために外部監視員が招かれなかった理由を尋ねた。
テレオケンは、トビリシとの緊張した状況を考えると、アブハジア当局は外部者の存在をおそらく容認しないだろうと主張した。
ロシア側には外部監視員を招く時間がなかったとも彼は述べた。なぜなら、軍事装備を積んだ列車1両の撤退が進むことを「最後の瞬間まで知らなかった」からだという。
我々は、ロシア側がすでに別の2両に積み込みを済ませ、アブハジア側の許可を待っているのであれば、今は時間があるはずだと反論した。
透明性の欠如は、ロシア政府の意図について疑問を生じさせるかもしれない、と我々は指摘した。
我々は、部隊撤退の計画についても尋ねた。
テレオケンは、約600人のロシア人員がグダウタに残っていると述べた。
モスクワは、そのうち約340人を「警備員」として残すことに引き続き固執している。
彼によれば、トビリシは引き続き、もっと少ない人数を求めている。
ジュヴァニアのモスクワ訪問
6. 我々は、ジョージア議会議長ズラブ・ジュヴァニアの前週のモスクワ訪問について、テレオケンに尋ねた。
彼は、ジュヴァニア訪問の雰囲気が前向きだったことを確認した。
しかし、その訪問には「実質的な成果はなかった」と述べた。
ジョージア大使館は10月26日、ジュヴァニア訪問は順調に進んでいると我々に伝えていた。
なお、ジュヴァニアは10月28日にモスクワを出発していた。
ジョージア大使館の政治担当参事官チヘイゼによれば、ジュヴァニアとロシア下院議長ゲンナジー・セレズネフは、両国が冷静に相違点を話し合い、一般条約に取り組む必要があるという点で一致した。
7. テレオケンは、セルゲイ・イワノフ国防相がまもなくトビリシを訪問することに同意したという報道を一蹴した。
ただし、今後数週間のうちに訪問が行われる可能性を完全に排除することはできないとも述べた。
彼は、11月30日から12月1日にモスクワで開かれるCIS首脳会議の際に、シェワルナゼとプーチンが会談する可能性についての計画はあると主張した。
ただし、まだ何も確認されていないと述べた。
コメント
8. ロシア機が関与していないというロシア側の公式否定を受け入れるのは難しい。
それがUFOだったと仮定するのは、領空侵犯の重大性を考えなければ、笑える話である。
最も可能性が高いのは、ロシア側がジョージア人と渓谷内のチェチェン人に圧力をかけ続け、これらの集団がアブハジアやロシアへ移動するのを防ごうとしているということである。
ロシア側の公式否定は、気まずい認め方を避けるために「大胆な嘘」をつくという、伝統的なロシアの傾向を反映している。
グダウタについては、ロシア政府はおそらく、そこに残る600人の部隊を、アブハジアに関するボーデン文書と、ジョージア国内のチェチェン人取り締まりの両方について、トビリシから譲歩を引き出すための交渉材料として使っている。
署名:VERSHBOW
文書終了
情報共有先:在トビリシ米国大使館、国連米国代表部、モスクワ政治関係先、在バクー米国大使館、在エレバン米国大使館、欧州安全保障協力機構米国代表部、国防長官、統合参謀本部など。
配布規則:アーカイブコピー
出典:U.S. Department of War「Presidential Unsealing and Reporting System for UAP Encounters(PURSUE)」Release 01、および「059uap00011.pdf」
