事件発生日:1969年
公開日:2026年5月8日
発生場所:月
公開元:NASA
文書の種類:PDF
アセットファイル名:NASA-UAP-D1、アポロ12号記録、1969年
出典:U.S. Department of War「NASA-UAP-D1, Apollo 12 Transcript, 1969」 / nasa-uap-d1-apollo-12-transcript-1969.pdf
2026年5月8日、米国の戦争省は「Presidential Unsealing and Reporting System for UAP Encounters(PURSUE)」Release 01の一部として、NASAのアポロ12号に関する通信記録を公開した。
今回の資料は「NASA-UAP-D1, Apollo 12 Transcript, 1969」。日本語でいえば、「NASA-UAP-D1、アポロ12号記録、1969年」である。
アポロ12号は、米国で4番目の有人月探査ミッションであり、月面着陸ミッションとしてはアポロ11号に続く2番目のミッションだった。
この資料には、1969年11月のアポロ12号技術航空対地音声記録から、宇宙飛行士たちが未確認現象に反応した部分が抜き出されている。
対象となっているのは、主に2つの時間帯である。
ひとつ目は、5日目19時14分58秒から20時12分14秒まで。
ふたつ目は、6日目00時21分42秒から00時23分33秒までである。
この短い記録の中に、月着陸船の周囲で見えた粒子、閃光、漂う破片、そして追跡ライトに関するやり取りが残されている。
アポロ12号と2つの宇宙船
通信記録には、「Intrepid」と「Yankee Clipper」という2つの名前が登場する。
Intrepid(※イントレピッド)は、アポロ12号の月着陸船である。
Yankee Clipper(※ヤンキー・クリッパー)は、司令船の名前である。
搭乗していたのは、ミッション司令官チャールズ・“ピート”・コンラッド、月着陸船操縦士アラン・L・ビーン、司令船操縦士リチャード・ゴードンだった。
この資料で特に重要なのは、月面からの離陸を控えた月着陸船側のやり取りである。
彼らは月面活動を終え、司令船とのランデブーに向けて準備を進めていた。
その作業の合間に、ビーンとコンラッドは、月着陸船の外側や宇宙空間に見える奇妙な光景について報告している。
AOT越しに見えた“宇宙空間を漂う粒子”
5日目19時27分25秒、月着陸船操縦士のアラン・ビーンは、ヒューストンに対して興味深い報告をしている。
彼はAOT(※アライメント光学望遠鏡)を通して、暗い象限を見たときの光景について話し始めた。
AOTとは、月着陸船に搭載された光学望遠鏡で、姿勢の確認や星の観測などに使われる装置である。
ビーンは、そのAOT越しに「光の粒子」や「閃光」が見えると説明した。
それらは、自分の後方左側から来て、宇宙空間へ流れていくように見えたという。
彼は最初、それらが水ボイラーから落ちているものではないかと考えた。
しかし、観察しているうちに、いくつかは月から逃げ出しているように見えたと述べている。
出典元の説明では、ビーンがこれらの現象を「月面脱出」と表現したとされている。
“月から逃げ出している”ように見えたもの
この表現は、とても印象的である。
もちろん、ビーンがここで「月から生命体が脱出している」と言ったわけではない。
記録上の文脈から見ると、彼は光の粒子や閃光の動きを、月面から離れていくように見える現象として説明している。
月面周辺では、微小な破片、氷や水分由来の粒子、反射光、宇宙船由来のデブリなど、さまざまなものが見え方に影響する可能性がある。
ただし、この通信記録の面白さは、現象の正体そのものよりも、宇宙飛行士がその場でどう見て、どう言葉にしたかにある。
ビーンには、それがただの静止した点ではなく、暗い背景の中を流れ、宇宙へ出ていく小さな光の群れのように見えた。
月面上で、AOT越しにその光景を見ている宇宙飛行士の生々しさが、この短い記録には残っている。
同じ時間帯には機器表示の“閃光”もあった
5日目20時09分34秒ごろには、ビーンが別の「興味深いこと」も報告している。
AGS(※中止誘導システム)関連の表示で、DEDA(※データ入力・表示装置)のアドレス表示と情報表示の両方に、薄い「8」のような光が点滅しているという内容である。
彼は、それが通常表示の5分の1ほどの明るさで、約1秒ごとに脈打っていると説明した。
ヒューストン側は、ベスページでの試験中にも同様の現象を見たことがあり、おそらくEMI(※電磁干渉)だろうと返答している。
これはUAPそのものではないが、今回の抜粋の中では、宇宙飛行士たちが目の前の「光る現象」をひとつずつ確認し、ヒューストンと切り分けようとしている様子が分かる。
外で見える粒子や閃光。
機器表示に出る薄い点滅。
それぞれを混同せず、観察し、報告し、原因を考える。
この姿勢こそ、宇宙飛行中の未確認現象を読むうえで重要である。
6日目、月着陸船の外を漂う“破片”
6日目00時21分51秒、今度はミッション司令官ピート・コンラッドが、月着陸船の追跡ライトについて報告している。
司令船側のリチャード・ゴードンは、セクスタントで月着陸船を捉えられていなかった。
それに対してコンラッドは、月着陸船の追跡ライトが切れたようだとヒューストンに伝える。
理由は、最初の夜側通過のときには、月着陸船の外を漂っている小さな破片に追跡ライトが点滅しているのが見えたのに、今は同じような破片が漂っているはずなのに何も点滅していないからだった。
つまり、コンラッドは、月着陸船の周囲を漂う小片そのものを見ていた。
そして、その破片が追跡ライトに照らされるかどうかを手がかりに、ライトが機能しているかを判断していた。
追跡ライトは本当に切れていたのか
ヒューストンはその後、電気系統の担当者たちの見解として、電流表示上は追跡ライトが点いていると伝える。
しかし、コンラッドは「今、こちらで消した」と返す。
司令船側のゴードンは、ライトが見えないことから、コンラッドに「後ろ向きに飛んでいるんじゃないか」と冗談めいた指摘をする。
コンラッドは、自分の姿勢表示もレーダーも、司令船の方向を向いていることを示していると返している。
このやり取りは、UFO的な派手さとは違う。
だが、月周回または月面近傍の運用中に、ライト、破片、視認、セクスタント、レーダー、姿勢表示が複雑に絡み合っていたことを示している。
宇宙空間では、小さな破片でもライトに照らされれば目立つ。
逆に、ライトが見えなければ、姿勢や方向、装置の故障を疑うことになる。
未確認現象は、こうした運用上の文脈の中で発生している。
これは“宇宙人遭遇”の記録ではない
今回の資料は、アポロ12号が異星人の宇宙船を見たことを示すものではない。
また、NASAが月で未知の生命体や人工物を発見したことを示す文書でもない。
記録されているのは、宇宙飛行士たちが月着陸船の周囲やAOT越しに見た、粒子、閃光、破片、ライトの状態に関する同時的な交信である。
出典元がこの資料をUAP関連として整理しているのは、宇宙飛行士たちがその場で未確認の現象を観測し、反応し、ヒューストンと共有しているからだろう。
ただし、記録を読む限り、現象の多くは宇宙船や月着陸船周辺の破片、粒子、光、反射、機器表示などの文脈で語られている。
そこにあるのは、未知の飛行物体との劇的な遭遇ではなく、極限環境で見えたものを、その場で言葉にしていく宇宙飛行士の観察である。
月面の“未確認”は、地球上のUFOとは違う
地球上でUFOを見る場合、私たちは雲、航空機、鳥、風船、ドローン、星、人工衛星、気象現象などを候補に考える。
しかし月面や月軌道では、状況がまったく違う。
空気はない。
風もない。
黒い宇宙背景がある。
太陽光は強烈で、影は深い。
宇宙船の周囲には、小さな破片や粒子が漂う可能性がある。
ライトに照らされた微小なものが、暗い背景の中で強く見えることもある。
アポロ12号の記録に残された“未確認”は、こうした月面環境特有の見え方と切り離せない。
だからこそ、単純に「宇宙飛行士がUFOを見た」と言い切るよりも、「宇宙飛行士が月着陸船周辺で未確認の粒子・閃光・破片を観測し、通信記録に残した」と読む方が正確である。
アポロ12号の記録が示しているもの
この資料の面白さは、結論ではなく過程にある。
ビーンはAOT越しに、宇宙空間を漂う光の粒子を見た。
それが水ボイラー由来なのか、月面から離れていく粒子なのかを考えた。
コンラッドは月着陸船の外を漂う破片を見た。
追跡ライトがその破片を照らしていないことから、ライトの故障を疑った。
ヒューストンは電流表示を確認し、ライトは点いているようだと伝えた。
司令船側はセクスタントで月着陸船を探し、レーダーや姿勢表示との関係を確認した。
つまり、彼らは未知の現象に対して、驚きながらも、確認し、切り分け、運用上の意味を考えていた。
これこそ、宇宙飛行におけるUAP記録のリアリティである。
1969年、月で見えた粒子と閃光。
それは答えの出ない謎というより、宇宙飛行士たちが未知の環境で見たものを記録した、貴重な観察の断片だった。
全文翻訳
出典元ページの説明
アポロ12号は、有人月探査ミッションとしては米国で4番目、月面着陸ミッションとしては2番目だった。
この文書は、1969年11月のアポロ12号技術航空対地音声記録からの抜粋であり、宇宙飛行士が未確認現象を観測したと報告した2つの期間、すなわち5日目の1時間と6日目の2分間に焦点を当てている。
これらの記録には、未確認現象に反応した飛行クルーによる同時観測が含まれている。
5日目、19時14分58秒から5日目、20時12分14秒まで:
5日目19時27分25秒に、月着陸船操縦士、宇宙飛行士アラン・L・ビーンは、搭載されているAOT(※アライメント光学望遠鏡)を通して「宇宙空間を漂う」粒子と閃光を観測したと説明した。
彼はこれらの現象を「月面脱出」と表現した。
6日目、00時21分42秒から6日目、00時23分33秒まで:
ミッション司令官のチャールズ・“ピート”・コンラッドは、月着陸船の搭載追跡ライトで照らされた、月着陸船の外側に浮遊する破片を目撃したと説明した。
6日目00時21分51秒に、コンラッドは追跡ライトが切れたと判断した。なぜなら、もはや月着陸船から破片が見えなくなったからである。
アセットファイル名:NASA-UAP-D1、アポロ12号記録、1969年
公開日:2026年5月8日
機関:NASA
事件発生日:1969年
事件発生場所:月
文書の種類:PDF
PDF本文の翻訳
注:このPDFは4ページ構成であり、アポロ12号の技術航空対地音声記録から、未確認現象に関係する部分を抜粋したものである。以下は、公開版で読める主要部分の翻訳である。
5日目 19時14分58秒〜19時24分05秒付近
CC:その通りです。こちらはE-MODの準備ができています。
CC:イントレピッド、ヒューストン。
CDR-LM:どうぞ。
CC:P00とACCEPTを入れてくれれば、CSMの状態ベクトルとRLS更新を送ります。
CDR-LM:P00とACCEPTを入れました。
CMP:こんにちは、ヒューストン。ヤンキー・クリッパーです。
CC:ヤンキー・クリッパー、ヒューストン。大きく明瞭に聞こえます。
CMP:やあ、久しぶり。調子はどうですか。
CC:おはよう、ディック。こちらは元気です。そちらはどうですか。
CMP:まあまあです。久しぶりに仲間が来てくれるのを楽しみにしているでしょう。
CC:了解。家の掃除は済みましたか。
CMP:実は、ちょうど終わったところです。全部整えて、月着陸船へ向かって、彼らを連れ戻す準備ができています。この船をきれいに保つのは、なかなか大変です。
CC:了解。炭鉱夫が2人、そちらへ向かいます。
CMP:いいですよ。会えるのを楽しみにしています。
CC:イントレピッド、ヒューストン。コンピューターはそちらのものです。ブレーク。ヤンキー・クリッパー、P00とACCEPTにしてくれれば、アップリンクがあります。
CMP:全部そちらに任せます。
CDR-LM:ヒューストン、離陸時刻を教えてくれますか。
CC:待ってください。
CC:イントレピッド、ヒューストン。離陸時刻は142時03分47秒です。
CDR-LM:142時03分47秒00、了解。
CC:その通りです。
CC:クリッパー、ヒューストン。コンピューターはそちらのものです。
5日目 19時24分11秒〜19時29分10秒付近
CMP:了解。ジェリー、このバッテリー充電をどうしたいのか確認してくれますか。ランデブー中にバス・タイを使っているので。
CC:了解。
CC:ヤンキー・クリッパー、ヒューストン。LOSでバッテリー充電を終了する予定にしてください。
CMP:わかりました。離陸直前まで続けることもできます。そうすれば、上まで持つかもしれません。
CC:クリッパー、ヒューストン。このパスではLOSで終了してほしいです。
CMP:了解。
CC:了解。それで、離陸前にこちらで追跡する項目がひとつ減ります。
CMP:了解。
CDR-LM:ヒューストン、イントレピッドです。
CC:イントレピッド、ヒューストン。どうぞ。
LMP-LM:了解。暗い象限でAOTをのぞくと、光が見えます。光の粒子、閃光のようなものです。今回は第1象限、左側を見ています。それらは自分の後ろ、左側から来て、宇宙空間へ流れていきます。最初は水ボイラーから落ちているものだと思っていましたが、そのいくつかは月から逃げ出しているように見えます。ものすごく速くここから出ていって、星の方へ進んでいきます。
CC:了解。
CC:ヤンキー・クリッパー、ヒューストン。P22追跡PADがあります。
CMP:どうぞ。
CC:了解。目標はLM。T1は139時57分39秒、T2は140時02分38秒、南05、緯度はマイナス3……
CMP:了解。T……
5日目 20時08分23秒〜20時12分14秒付近
CC:クリッパー、ヒューストン。そのデータは、何かに使う前に十分評価します。
LMP-LM:ヒューストン、イントレピッドです。
CC:イントレピッド、ヒューストン。どうぞ。
LMP-LM:今、AGSでちょっと興味深いことが起きています。前には気づかなかったのですが、今はライトが明るいからかもしれません。アドレス・レジスターと情報レジスターの両方に、全部「8」のような表示が、通常の数字の5分の1くらいの明るさで点滅しています。そして、それが1秒ごとに脈打っています。
CC:了解、アル。
LMP-LM:照明レベルを少し下げると、目立たなくなります。
LMP-LM:ヒューストン、イントレピッドです。RCSホットファイアの準備はいいですか。
CC:イントレピッド、ヒューストン。了解。点火してください。
CDR-LM:了解。
CC:イントレピッド、ヒューストン。
LMP-LM:どうぞ。
CC:了解、アル。フレドがここにいます。彼と私は、ベスページでほとんどすべての宇宙船を試験しているときに、あなたのDEDAでその現象を見ています。おそらくEMIです。
CDR-LM:それがこちらで話していたことです。一応確認しておこうと思いました。
LMP-LM:ロールレートに入ったら、左へロール、ピッチアップ……
CC:了解。この問題についてはTRWが検討資料を持っていると思います。
CDR-LM:よろしいですか。
CDR-LM:では行きます、ヒューストン。ロール、ピッチ、ヨーです。
CC:了解、ピート。
6日目 00時21分42秒〜00時23分33秒付近
CMP:でも、セクスタントではそちらを捉えられていません。大丈夫です。あなたの点滅ライトが点滅していないだけです。
CDR-LM:ヒューストン。どうやらこちらの追跡ライトが切れたようです。ディックはセクスタントでこちらを見つけられていません。最初の夜側通過では、こちらの周りを小さな破片が漂っていて、その破片に追跡ライトが点滅しているのが見えました。今も、そうした破片が漂っていると思いますが、それらに何も点滅していません。だから、ライトが切れたとかなり確信しています。
CC:了解、ピート。
LMP-LM:はい、了解。
CC:イントレピッド。
LMP-LM:了解。
CC:こちらヒューストン。前後のスイープダウンはどうでしたか。
CDR-LM:この向きで飛んでいると、ずっときれいになってきています。それから、ヤンキー・クリッパーがテレビの準備をすべて終えたと知らせてくれました。地平線を回って出てくるときには、VOXでテレビをオンにして戻ってきます。
CC:了解。
CDR-LM:もしかすると、最初のウィファーディルが見られるかもしれません。
CC:了解、ピート。電気担当者たちは、電流表示では追跡ライトが点いていることを示していると言っています。
CDR-LM:了解。今こちらで消しました。電流はどう示していますか。
CC:確かにそう示しています、ピート。
CMP:それなら、あなたたちは後ろ向きに飛んでいるんだ、ピート。私はライトが見えません。
CDR-LM:私のボールは、こちらがあなたを向いていると示しています、ディック。レーダーもそうです。
出典:U.S. Department of War「Presidential Unsealing and Reporting System for UAP Encounters(PURSUE)」Release 01、および「nasa-uap-d1-apollo-12-transcript-1969.pdf」
