事件発生日:2024年7月14日
公開日:2026年5月8日
発生場所:アデン湾
公開元:戦争省
文書の種類:PDF
アセットファイル名:DOW-UAP-D75、ミッションレポート、アデン湾、2024年7月
出典:U.S. Department of War「DOW-UAP-D75, Mission Report, Gulf of Aden, July 2024」 / dow-uap-d75-mission-report-gulf-of-aden-july-2024.pdf
2026年5月8日、米国の戦争省は「Presidential Unsealing and Reporting System for UAP Encounters(PURSUE)」Release 01の一部として、2024年7月にアデン湾周辺で記録されたUAP関連の任務報告書を公開した。
今回の資料は「DOW-UAP-D75, Mission Report, Gulf of Aden, July 2024」。日本語でいえば、「DOW-UAP-D75、ミッションレポート、アデン湾、2024年7月」である。
この文書は、米軍が作戦状況を記録するために使用する標準化された報告様式、MISREP(※任務報告書)である。
米軍は、UAP(※未確認異常現象)をAARO(※全領域異常解決局)へ報告する際、このMISREP(※任務報告書)を使用することがある。
今回の報告では、米軍のオペレーターが2024年7月14日に1件のUAPを観測したとされている。
観測されたUAPは、同じ高度を保ちながら、直線的な飛行経路を維持していた。
そして報告書には、オペレーターがそのUAPを「無害」と評価し、距離が遠すぎて追跡できなくなるまで追ったことが記録されている。
アデン湾で行われていたISR任務
この任務報告書の舞台は、アデン湾周辺である。
資料によれば、米軍機は2024年7月14日、NAVCENT(※米海軍中央軍)およびAFCENT(※米空軍中央軍)に関連するISR任務を行っていた。
ISRとは、Intelligence, Surveillance, Reconnaissance(※情報・監視・偵察)の略である。
つまり、今回のUAP目撃は、通常の偵察・監視任務の中で発生した。
報告書では、対象機は140222ZJUL24に離陸し、140300ZJUL24に任務区域に到着したと記録されている。
その後、140334ZJUL24から140925ZJUL24まで、NAVCENT(※米海軍中央軍)支援の目標開発任務を実施していた。
UAPが観測されたのは、その任務中の140517ZJUL24である。
日本語にすれば、2024年7月14日05時17分Zの時点で、1件のUAPが観測されたことになる。
「同じ高度で直線飛行経路を維持」
今回のUAPについて、報告書の記述はかなり抑制されている。
派手な急加速や瞬間移動、海中への突入、異常な旋回などは記録されていない。
公開版で読める主な特徴は、「STRAIGHT FLIGHT PATH AT SAME ALTI」、つまり「同じ高度で直線飛行経路を維持していた」という点である。
これは、UAPが一定の高度を保ち、直線的に移動していたことを意味する。
少なくとも公開文書上では、物体が不規則に動いた、観測者に反応した、攻撃的な動きをした、という記述はない。
むしろ、安定した飛行をしていた対象として報告されている。
オペレーターは「無害」と判断した
報告書の「Observer Assessment of UAP(※観測者によるUAP評価)」欄には、「Benign」と記録されている。
Benignとは、「無害」「危険性が低い」といった意味である。
つまり、観測者はこのUAPを、少なくともその場では脅威とは見なしていなかった。
ここは重要である。
UAPという言葉から、すぐに危険な侵入物や異常な飛行体を想像しがちだが、実際の軍事報告では、対象が脅威かどうか、観測者や任務に影響を与えたかどうかも記録される。
今回の資料では、UAPが人員に影響を与えたとは記録されていない。
装備への影響も「NONE」、つまり「なし」とされている。
回収された物体や物質も「NO」、つまり「なし」と記録されている。
追跡はしたが、交戦はしていない
報告書には、観測者がUAPと交戦したかどうかを問う項目がある。
そこには「NO」と記録されている。
つまり、このUAPに対して、攻撃、妨害、積極的な接触などは行われていない。
また、「Observation Interrogation of UAP」、つまりセンサーなどによる追加の照会・尋問を行ったかどうかについても、「NO」と記録されている。
一方で、報告書には「FOLLOWED THE UAP TILL THE DISTANCE BECAME TOO FAR TO FOLLOW」とある。
日本語にすれば、「距離が遠くなりすぎて追跡できなくなるまで、そのUAPを追った」ということだ。
ここが、この報告のいちばん生々しい部分かもしれない。
UAPは突然消えたわけではない。
目の前で奇妙な挙動をしたわけでもない。
ただ、飛び続けた。
そして観測者は、それを追える限り追った。
しかし、やがて距離が遠すぎて追跡できなくなった。
「飛行速度より速かった」
報告書には、UAPの異常特徴・行動に関する欄もある。
そこには「UAP’S SPEED WAS FASTER THAN THE … FLYING SPEED」と記録されている。
一部は黒塗りされているため、比較対象の詳細は公開版では分からない。
ただし、出典元の説明では、報告書に「UAPの速度が飛行速度よりも速かった」と記されていると説明されている。
これは、観測者側の機体、または任務中の飛行速度と比較して、UAPの方が速かったという趣旨に読める。
ただし、具体的なUAPの速度は公開版では黒塗りされている。
したがって、今回の記事では、何ノットだった、時速何キロだった、と断定することはできない。
分かるのは、報告者が「こちらの飛行速度より速い」と評価したこと、そして距離が離れすぎるまで追跡したことだけである。
推進手段も、知的制御の有無も不明
報告書には、UAPの推進手段についても項目がある。
そこには「UNKNOWN」、つまり「不明」と記録されている。
また、UAPが知的制御下にあったかどうかについても「UNKNOWN」とされている。
高度な能力や特殊な素材の有無についても、「UNKNOWN ABOUT ADVANCED CAPABILITIES AND/OR MATERIALS」、つまり「高度な能力または素材については不明」と記録されている。
このあたりは、UAP報告らしい慎重さがある。
目撃された。
飛行経路は記録された。
速度についての印象も記録された。
しかし、推進方式や制御主体、素材、能力については判断しない。
これは、報告書が目撃者の印象を残しつつ、分からないものは分からないと区別していることを示している。
天候は任務に影響しなかった
資料中には、天候に関する記述もある。
NAVCENT(※米海軍中央軍)支援任務の欄では、「WEATHER WAS NOT A FACTOR」、つまり天候は要因ではなかったと記録されている。
また、後続のAFCENT(※米空軍中央軍)関連任務の欄でも、天候はIMINT(※画像情報)の有効性を妨げなかったと記録されている。
少なくとも公開文書上では、悪天候による目撃困難や、天候が原因の誤認を強く示す記述は見当たらない。
もちろん、これだけで対象の正体が分かるわけではない。
しかし、任務報告書としては、天候が大きな制約ではなかったことが記録されている。
人員・装備への影響はなし
UAPが人員へ与えた影響について、報告書は「NO」と記録している。
装備への影響については「NONE」。
物体や材料の回収についても「NO」である。
つまり、今回の事例は、UAPの存在によって機体や装備に異常が起きた、乗員に身体的・心理的影響が出た、何らかの破片を回収した、というタイプの報告ではない。
観測されたのは、1件のUAP。
それは直線飛行を維持し、同じ高度を保ち、こちらの飛行速度より速く、距離が遠すぎるまで追跡された。
それ以上の派手な事象は、公開版からは読み取れない。
この報告は“静かなUAP事件”である
UAP事件というと、急加速、急旋回、発光、レーダー異常、電子機器への干渉といった派手な要素を想像しがちである。
しかし、今回のDOW-UAP-D75はかなり静かな報告だ。
UAPは1つ。
同じ高度。
直線飛行。
無害と評価。
交戦なし。
人員への影響なし。
装備への影響なし。
物体回収なし。
それでも、報告書に残された。
理由は単純で、その場で正体が確定できなかったからだろう。
軍事作戦の現場では、正体不明の対象は、それだけで記録対象になる。
それが危険かどうか。
任務に影響するかどうか。
既知の機体かどうか。
センサーで確認できるかどうか。
後から分析するためには、まず記録する必要がある。
アデン湾の空にいたもの
この資料は、宇宙人の存在を示すものではない。
また、UAPが高度な技術を持っていたと証明するものでもない。
むしろ、公開版から読み取れる限りでは、非常に限定的な情報しかない。
しかし、その限定的な情報こそが、現代のUAP報告の現実をよく示している。
作戦中、1件の対象が観測される。
それは同じ高度で直線飛行をしていた。
こちらより速く、距離が離れすぎるまで追跡された。
危険とは判断されず、交戦もされなかった。
推進手段も、知的制御の有無も、高度な能力や素材の有無も不明。
それでも、記録され、AARO(※全領域異常解決局)へ公開承認された。
2024年7月14日、アデン湾の空にいたもの。
それが何だったのかは、この報告書だけでは分からない。
だが、米軍の任務記録には、確かに「追跡された未確認の対象」として残されている。
全文翻訳
出典元ページの説明
この文書は、米軍が作戦の状況を記録するために使用する標準化された報告様式である任務報告書、MISREP(※任務報告書)である。
米軍は、未確認異常現象、UAP(※未確認異常現象)をAARO(※全領域異常解決局)に報告する際にMISREP(※任務報告書)をよく使用する。
これらの報告書のGENTEXT(※一般テキスト)セクションには、報告書の他の部分にあるより定量的、つまり数値的なデータとは区別される、重要な定性的、文脈的情報が含まれていることがよくある。
米軍のオペレーターは、2024年7月14日に1つのUAPを目撃したと報告した。
観察者は、UAPが「同じ高度で直線飛行経路を維持していた」と報告した。
報告書には、UAPの「速度が飛行速度よりも速かった」と記されており、オペレーターは物体を「無害」と判断した。
オペレーターは、「距離が遠すぎるまで」UAPを追跡したと報告した。
この報告書に含まれるすべての記述的および推定的な表現は、イベント発生時の報告者の主観的な解釈を反映している。
このような特徴付けは、対象物固有の特性や性能特性の有無を決定的に示すものとして解釈されるべきではない。
目撃者の身元、政府施設の所在地、またはUAPとは無関係な軍事施設に関する機密情報を保護するため、一部が黒塗りされている。
トランプ大統領の指示に基づき公開されたファイルのうち、UAPまたは関連現象として報告された遭遇事例の性質や存在に関する情報については、一切黒塗りは行われていない。
アセットファイル名:DOW-UAP-D75、ミッションレポート、アデン湾、2024年7月
公開日:2026年5月8日
機関:戦争省
事件発生日:2024年7月14日
事件発生場所:アデン湾
文書の種類:PDF
PDF本文の翻訳
注:このPDFは8ページ構成であり、任務情報、部隊情報、ISR任務情報、UAP情報を含む。ただし、公開版では多くの箇所が黒塗りされている。以下は、公開版で読める主要部分をもとにした翻訳である。
推薦情報
推薦者:MG Brandon R. Tegtmeier、USCENTCOM(※米中央軍)参謀長
推薦日:2025年6月2日
注意書き:FOUO(※公用限定)/ Privacy Act(※プライバシー法)が適用される
分類:SECRET//REL TO USA, FVEY(※秘密/米国およびファイブアイズ共有可)
文書番号:Misrep 10194673
Narrative(任務叙述)
対象機は、2024年7月14日02時22分Zに離陸し、03時00分Zに任務区域へ到着した。
任務中、対象機は引き継ぎから任務終了まで、黒塗りされた装備または手段を使用した。
03時34分Zから09時25分Zまで、対象機はNAVCENT(※米海軍中央軍)の支援として目標開発任務を実施した。
05時17分Z、対象機は1件のUAPを観測した。
10時41分Zから21時30分Zまで、対象機はAFCENT(※米空軍中央軍)の支援として別の目標開発任務を実施した。
21時42分Zに任務区域から離脱を命じられ、22時38分Zに引き継ぎを行い、22時59分Zに着陸した。
管理情報
分類:SECRET(※秘密)
共有区分:REL TO USA, FVEY(※米国およびファイブアイズ共有可)
作戦:名称は黒塗り
領域:航空
作戦センター:609th
報告種別:MISREP(※任務報告書)
作成部隊または飛行隊:124 ATKS
任務国:米国
任務軍種:空軍
主な司令部:ACC
戦闘軍:USCENTCOM(※米中央軍)
ISR任務 1
任務種別:ISR(※情報・監視・偵察)
主センサー:FMV(※フルモーション映像)
任務種別:計画任務
支援先:NAVCENT(※米海軍中央軍)
対象機は、離陸124分前にNAVCENT(※米海軍中央軍)と調整を行った。
任務資料を離陸124分前に受領していたため、事前調整は優れていた。
対象機は03時34分Zに目標地域へ到着した。
05時17分Z、対象機は1件のUAPを観測した。
09時25分Z、対象機は目標地域から離脱を許可され、次の任務へ進んだ。
天候
天候は要因ではなかった。
ISR任務 2
任務種別:ISR(※情報・監視・偵察)
主センサー:FMV(※フルモーション映像)
任務種別:動的任務
支援先:AFCENT(※米空軍中央軍)
対象機は、再任務付与の30分前にAFCENT(※米空軍中央軍)と調整を行った。
任務資料を再任務付与の30分前に受領していたため、事前調整は優れていた。
対象機は目標地域へ到着し、任務を実施した。
21時30分Z、対象機は目標地域から離脱を許可され、基地へ帰投した。
UAP
初回接触日時:2024年7月14日05時17分Z
UAP事象種別:UAP Incident(※UAP事案)
UAPの機動性に関する観測:同じ高度で直線飛行経路を維持
観測者の行動に対するUAPの反応:不明
観測者によるUAP評価:無害
UAPに対する観測・照会:なし
UAPの推進手段:不明
UAPが知的制御下にあったか:不明
UAPの高度な能力または素材:高度な能力または素材については不明
UAPによる人員への影響:なし
UAPの物体・材料回収:なし
UAPによる装備への影響:なし
観測者によるUAPへの交戦:なし
最初の座標:38P MT 53【黒塗り】17【黒塗り】
最初の視認半径:5
最後の精度:推定
最後の座標:38P MT 22【黒塗り】49【黒塗り】
最後の視認半径:5
高度精度:推定
高度:低高度
深度精度:推定
深度:不明
速度精度:推定
速度:黒塗り
軌道精度:推定
軌道:北西
国防総省によるUAP取得日時:2024年7月14日05時17分Z
観測・照会・交戦に対するUAPの反応:対象機は、距離が遠すぎて追跡できなくなるまでUAPを追跡した。
UAPの異常な特徴または行動:UAPの速度は、対象機の飛行速度より速かった。
UAPの説明:大きさ、形状、色、マーキング、認識可能な特徴に関する詳細は、公開版では黒塗りまたは判読不能である。
出典:U.S. Department of War「Presidential Unsealing and Reporting System for UAP Encounters(PURSUE)」Release 01、および「dow-uap-d75-mission-report-gulf-of-aden-july-2024.pdf」
