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  • シリア沖でP-8Aが捉えた“海面すれすれの未確認物体”──時速約926kmで飛んだUAP任務報告

    シリア沖でP-8Aが捉えた“海面すれすれの未確認物体”──時速約926kmで飛んだUAP任務報告

    事件発生日:2016年11月18日

    公開日:2026年5月8日

    発生場所:シリア・ラタキア北西沖、東地中海

    公開元:戦争省

    文書の種類:PDF

    アセットファイル名:DOW-UAP-D55、任務報告書、シリア、2016年11月

    出典:U.S. Department of War「DOW-UAP-D55, Mission Report, Syria, November 2016」 / dow-uap-d55-mission-report-syria-november-2016.pdf

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    2026年5月8日、米国の戦争省は「Presidential Unsealing and Reporting System for UAP Encounters(PURSUE)」Release 01の一部として、2016年11月にシリア沖で発生したUAP関連の任務報告書を公開した。

    今回の資料は「DOW-UAP-D55, Mission Report, Syria, November 2016」。日本語でいえば、「DOW-UAP-D55、任務報告書、シリア、2016年11月」である。

    文書の中心にあるのは、米軍のP-8A哨戒機が東地中海で観測した、低空を高速で飛行する未確認物体だ。

    場所は、シリアのラタキア北西沖。

    資料の見出しでは、P-8Aがラタキア北西55海里、つまり約102キロメートルの地点で、未確認の低空飛行物体を観測したと記されている。

    その物体は、海面すれすれを飛行する「sea skim mode(※直訳:海面すれすれ飛行モード)」のように見え、南東方向へ約500ノット、つまり時速約926キロメートルで移動していた。

    観測時間は約2分。

    その後、P-8Aはその物体を見失った。

    P-8AがEO/IRセンサーで捉えた低空飛行物体

    資料によれば、P-8Aは東地中海でKCTGの活動を監視していた。

    その最中、P-8Aは未知の起源を持つ未確認の低空飛行物体を観測した。

    物体はラタキア北西沖にあり、KCTGから離れるように南東方向へ向かっていたとされる。

    観測にはEO/IRセンサーが使われている。

    EO/IRとは、Electro-Optical / Infrared(※電子光学・赤外線)の略で、可視光や赤外線によって対象を観測するセンサーである。

    つまり、この目撃は肉眼だけの証言ではない。

    機体搭載センサーによって、低空を高速移動する物体が捉えられたという任務報告である。

    「ミサイル発射の可能性」として記録された

    資料のタイムラインでは、最初の観測が2016年11月18日13時10分Zとされている。

    この時点で、P-8AはEO/IRセンサーにより、起源不明の「possible missile launch(※直訳:ミサイル発射の可能性)」を観測した。

    その物体は、海面すれすれを飛ぶような状態で、約500ノット、つまり時速約926キロメートルで南東方向へ進んでいた。

    この表現は重要である。

    資料は、この物体を最初から「宇宙由来のUAP」として扱っているわけではない。

    むしろ、任務報告上では、ミサイル活動の可能性があるものとして記録されている。

    ただし、出典元の説明では、これがUAP(※未確認異常現象)として公開資料に含まれている。

    つまり、この事例は「正体不明の飛行物体」ではあるが、軍事的にはまずミサイルや既知の兵器活動の可能性を検討すべき事案として扱われていたと読める。

    海面すれすれを時速約926kmで飛行

    この物体の特徴は、速度と飛行高度の低さにある。

    資料では、物体は「sea skim mode(※直訳:海面すれすれ飛行モード)」に見えたと記されている。

    これは、海面に近い高度を維持して飛行する状態を指す。

    特に対艦ミサイルなどでは、レーダー探知を避けるために海面近くを飛ぶ「シースキミング」が知られている。

    ただし、この資料だけで対象が実際にミサイルだったと断定することはできない。

    報告書も「possible missile」、つまり「ミサイルの可能性」としている。

    速度は約500ノット。

    これは時速約926キロメートルに相当する。

    マイル表記では約575マイル毎時、つまり時速約925キロメートルである。

    低空をこの速度で移動する物体は、P-8Aの任務クルーにとっても明確に注目すべき対象だったはずだ。

    P-8Aは物体の南約26海里にいた

    最初の観測時、P-8Aの位置は、物体検出地点の南26海里と記録されている。

    26海里は約48キロメートルである。

    つまり、P-8Aは対象からかなり離れた位置にいた。

    それでも、EO/IRセンサーにより対象を捉え、移動方向や速度を推定できた。

    資料の図には、P-8Aの位置、物体の検出地点、そしてその後に見失った地点が示されている。

    この図からも、物体が沿岸部付近ではなく、ラタキア北西沖の東地中海上を移動していたことが分かる。

    約2分後、ラタキア北西約40海里で見失う

    タイムラインの次の記録は、13時12分Zである。

    P-8Aはこの時点で、対象との視覚的接触を失った。

    見失った位置は、ラタキア北西約40海里とされている。

    40海里は約74キロメートルである。

    最初の観測から見失うまで、およそ2分。

    その短い間に、物体は南東方向へ高速で移動した。

    報告書では、その物体、またはミサイルの可能性がある対象が、ロシア船とみられるINGUL ARSと、1隻の未確認船舶の間を通過したとも記録されている。

    この点は軍事的に重要である。

    もし対象がミサイルであった場合、周辺海域の艦船との位置関係は安全保障上の意味を持つ。

    天候は良好、視程制限なし

    資料の天候欄では、P-8Aの航空隊員が視界を「clear(晴明)」と評価し、距離上の視程制限はなかったと記録している。

    つまり、悪天候や視界不良で対象を誤認した、という説明は少なくともこの報告書からは読み取りにくい。

    ただし、観測はEO/IRセンサーによるものであり、対象の形状や正体を特定するには限界がある。

    資料には、センサー映像の静止画像のような小さな画像も含まれている。

    そこには、明るく白く写る物体が見えるが、これだけで対象の形状や構造を判断するのは難しい。

    任務指揮官は「安全な遭遇」と評価

    資料下部のコメント欄では、P-8Aの任務指揮官が、この相互作用を「safe(安全)」と評価したと記されている。

    また、東地中海においてP-8Aがミサイル活動の可能性を観測したのはこれが初めてだったが、KCTGの評価済み活動と一致する標準的な活動と評価された、とされている。

    ここも大事な部分だ。

    この報告書は、対象を「まったく説明不能な超常的物体」として扱っているわけではない。

    むしろ、軍事活動の文脈に照らせば、KCTGの活動と整合する標準的な事象である可能性が高いと評価している。

    それでも、この資料がUAP関連公開資料に含まれている理由は、観測時点で対象が未確認であり、P-8Aのセンサーが捉えた低空高速物体として記録されているからだろう。

    「未確認」と「異常」は同じではない

    この資料を読むうえで重要なのは、「未確認」と「異常」を分けて考えることだ。

    UAP(※未確認異常現象)という言葉は、ときにすぐ「宇宙人」や「超常現象」と結びつけられる。

    だが、この任務報告書に記録された対象は、軍事的にはミサイル活動の可能性があるものとして扱われている。

    つまり、未知の存在というより、識別前の軍事対象という色が強い。

    ただし、だからといって資料の価値が低いわけではない。

    むしろ、現代のUAP資料の多くは、このように「一見すると通常の軍事活動かもしれないが、観測時点では未確認だったもの」を含んでいる。

    その積み重ねが、空域や海域で何が起きているのかを把握するための重要な材料になる。

    シリア沖のUAPは、戦場のセンサー記録だった

    今回の資料は、派手なUFO目撃談ではない。

    舞台は東地中海。

    シリアのラタキア沖。

    観測者は米軍P-8A。

    観測手段はEO/IRセンサー。

    対象は海面すれすれを時速約926キロメートルで飛ぶ低空物体。

    そして報告書上の評価は、ミサイル活動の可能性。

    これは、現代UAP問題のかなり現実的な側面を示している。

    UAPとは、必ずしも空飛ぶ円盤や光る球だけではない。

    軍用機のセンサーに映る、低空を高速で移動する正体未確定の物体。

    それがミサイルなのか、ドローンなのか、他国の装備なのか、あるいは何らかの誤認なのか。

    その判断がつくまでは、それは安全保障上の“未確認”であり続ける。

    2016年11月18日、シリア・ラタキア沖でP-8Aが捉えた物体は、そのような戦場のUAPだった。


    全文翻訳

    出典元ページの説明

    この文書は、シリアのラタキア近郊で米軍機が目撃した未確認異常現象、UAP(※未確認異常現象)に関する任務報告をまとめたものである。

    P-8A哨戒機を操縦していた米軍パイロットは、機体のEO/IRセンサーで物体を目撃したと報告した。

    その物体は「海面すれすれ」の状態で、南東方向に時速約500ノット、つまり約575マイル毎時、時速約925〜926キロメートルで飛行していたとのことである。

    P-8Aは2分後にその物体との視覚的な接触を失った。

    本報告書に含まれる記述および推定表現はすべて、報告者が当該事象発生時に主観的に解釈したものである。

    これらの記述は、物体固有の特徴や性能特性の有無を決定的に示すものとして解釈されるべきではない。

    目撃者の身元、政府施設の所在地、またはUAPとは無関係な軍事施設に関する機密情報を保護するため、一部が黒塗りされている。

    トランプ大統領の指示に基づき公開されたファイルのうち、UAPまたは関連現象として報告された遭遇事例の性質や存在に関する情報については、一切黒塗りは行われていない。

    アセットファイル名:DOW-UAP-D55、任務報告書、シリア、2016年11月

    公開日:2026年5月8日

    機関:戦争省

    事件発生日:2016年11月18日

    事件発生場所:シリア

    文書の種類:PDF

    任務報告書

    機密解除者:MG Richard A. Harrison、USCENTCOM(※米中央軍)参謀長

    機密解除日:2026年5月20日

    67.1 P-8A、シリア・ラタキア北西55海里の未確認低空飛行物体を観測

    日付:2016年11月18日

    概要:東地中海でKCTG活動を監視中、P-8Aは、ラタキア北西55海里、つまり約102キロメートルの地点で、起源不明の未確認低空飛行物体を観測した。

    物体はKCTGから離れるように南東方向へ進み、約500ノット、つまり時速約926キロメートルで移動していた。

    観測時間は約2分だった。

    タイムライン(Z)

    2016年11月18日13時10分Z:P-8AはEO/IRセンサーにより、起源不明のミサイル発射の可能性があるものを観測した。

    その可能性のあるミサイルは、海面すれすれを飛ぶような状態で、約500ノット、つまり時速約926キロメートルで、KCTGから離れる南東方向へ進んでいた。

    P-8Aの位置は、物体検出地点の南26海里、つまり約48キロメートルだった。

    2016年11月18日13時12分Z:P-8Aは、ラタキア北西約40海里、つまり約74キロメートルの地点で対象との視覚的接触を失った。

    そのミサイルの可能性がある対象は、ロシア船とみられるINGUL ARSと、1隻の未確認船舶の間を通過したと観測された。

    天候

    P-8Aの航空隊員は、視界は良好であり、距離上の制限はなかったと評価した。

    CTG 67.1 コメント

    P-8Aの任務指揮官は、この相互作用を安全なものと評価した。

    これは、東地中海においてP-8A航空機がミサイル活動の可能性を観測した最初の事例だった。

    しかし、この事象は、KCTGの評価済み活動と一致する標準的な活動であると評価された。

    映像資料は、文書中のリンクに存在するとされるが、リンク部分は黒塗りされている。

    文書番号:USCENTCOM MDR 26-0038 to MDR 26-0046

    AARO(※全領域異常解決局)への公開承認:2026年3月27日

    出典:U.S. Department of War「Presidential Unsealing and Reporting System for UAP Encounters(PURSUE)」Release 01、および「dow-uap-d55-mission-report-syria-november-2016.pdf」